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私は「損するよりは、やっぱり得する方がいい」と思っています。
仕事では個人事務所を開設しているので、売上や利益は常に気にかけています。利益がなければ仕事を続けていくことができないからです。損得は重要な価値判断基準の一つです。買い物の際に思いがけずポイントがたまって半額で買えたときには、ジワーっとうれしさがこみ上げてきます。
しかし「得するためならどんな悪いことをしてもかまわない」とは思っていません。自分の中で善くないと思っていることをしたときには、罪悪感のようなものが胸の中に残ってスッキリした心持ちではいられません。
ただし「得するけれども少し悪いこと」の場合には、微妙な心理が働きます。先日、知人らと「高速道路の料金が無料となるり災証明」の話になりました。会津若松市の場合には、住居等の被害写真を添付し市役所に申請して証明書を発行してもらうことができます。私のまわりでも多くの人が証明書を発行してもらいました。この証明書を提示すれば往復の高速道路代はタダになるので、場合によっては数千円から数万円得することになります。
しかし、建物に被害が見あたらないのに、他の被害にあった建物の写真を提示するなどして証明書を発行してもらうとなると、「行き過ぎかな」と思います。
実際そうした人がいるかどうか具体的には知りませんが、容易にできてしまうかもしれません。確かに金銭的には得して家計の助けになるとは思いますが、何かスッキリしないものが残りそうです。法律上の処罰や他人からの批判とともに、自分に対する自分の評価・認識が小さくなってしまうような気がします。
反対に「損するけれども善いこと」を貫くという生き方があります。現在の「あいづっこ宣言」にも受け継がれているように、会津では昔からそのような精神が大切にされてきました。
私はこのことを考えるたびに、商工会議所青年部の先輩である真部正美さん(マナックビジネス社長)のことが頭に浮かびます。複数の会社やNPOを経営・運営し、公的な役職を多数引き受けていらっしゃってとても多忙な方です。にも関わらず、抜群に人の面倒を見ます。法律手続きで困っている人がいると、「田中君、こんな事情だから何とかやってほしいんだけど」と電話をいただきます。その態度には目先の損得を考えているようには感じられません。真部さんの経営する会社の社是である「人は人のために生きてこそ人という」をまさに体現している生き方だと感じます。だから、いつお会いしてもニコニコ元気でスッキリしている印象があります。
損得はとても大切だけれど、自分の中の善を求める生き方ができればいいなと思います。