あこがれ

 

 

 この3月に会津高校剣道部顧問の滝田勝彦先生が教育委員会に転勤されました。会津高校は7年間の勤務であったと思います。

 私は、同校剣道部のOBで、現在は剣道部講演会の事務局もしていることから、時々学校へうかがう機会もありました。

 また、滝田先生は私の大学剣道部時代の先輩でもあります。初めてお会いした時のことは今でも鮮明に覚えています。

 入学直後、大学の構内を歩いていると剣道の竹刀が交わる音が聞こえてきたので何気なく覗いていたら見学することになりました。稽古が終わり、挨拶させていただいたのが、当時4年生で主将だった滝田先生でした。

 同じ福島県出身ということもあって、稽古直後に防具を片付けている滝田先生に声をかけていただきました。

 私は高校まで剣道をしていましたが、大学ではテニス部に入ろうと思っていました。テニスを積極的にしたいというよりも「今までと違う環境で違うことをしてみたい。」という思いがありました。

 しかし、先輩方の稽古を拝見し滝田先生にご挨拶して、剣道部に入部しました。

 滝田先生は、主将で全体の指揮をとっており、技術的な指導もされていました。

私たちにとっては先生で、あこがれの存在でした。

強いだけでなく、指導が理にかなっており、言動一致していました。私たちが上級生になったときも滝田主将時代を目標に、稽古しました。

それから約20年後に滝田先生が私の母校に赴任されました。たまに高校におじゃまして稽古に参加させていただきました。生徒への指導を私も生徒と同じようにきいていました。以前にも増して説得力があり、いつも「なるほどなあ。」と勉強になりました。

1対1で稽古させていただいた時も、私のことを考えて指導していただいたことが、稽古後のお話で理解できました。

学生時代には4年生と1年生の関係であり、3歳の年齢差が大きく感じられるのは当然かなと思います。しかし、40代になっての3歳差は無いも等しいものです。

先生は、指導者という立場で剣道にずっと携わってこられたので、剣道の実力差が如何ともしがたいのは納得がいきます。剣道の実力、指導ばかりでなく、普段の立ち振る舞いや他人への気配りも素晴らしく、初めてお会いしてから20年以上たった現在でもなお、あこがれの存在です。

また、剣を交える時までに少しでも近づいていたいなと思います。

 

田中裕志