小学校6年生の長女が「少年の主張」という作文発表に参加しました。

 8月の暑い日に私も見に行きました。会津若松市文化センターの文化ホールに着くと小学生が発表していました。広い会場に100名を超える聴衆がいて、発表者にはスポットライトが当たっていました。

 ほとんどの子どもにとっては、こんなに大勢の前での発表は初めての経験だったと思います。しかし、どの子も堂々と自分の体験や考えを表現していました。

 長女は「今できること」という題で発表しました。声が震え、顔がこわばっています。他の発表者よりも少し声が小さいように感じました。

 長女は、あまり目立たずひとりで黙々とこなすタイプです。人前での発表は得意ではないだろうし、できればやりたくなかったはずです。どういう経緯で発表することになったのかはわかりませんが、長女にとれば一生の財産になることだと思いました。

 この発表の場にくるまでには、先生のご指導と母親の協力がありました。スポットライトを浴びて一生懸命に発表している長女を見ていたら、感謝の気持ちでいっぱいになってきました。

 発表の内容は、部活動の陸上練習と大会にまつわる心の葛藤についてでした。長距離走で記録の壁にぶつかり、その状態を乗り越えるためにどのように考え行動したのかを話していました。

 苦しいときに自分で考えるきっかけになったものとして、私(父親)からの言葉が挙げられていました。記録を気にしすぎる娘に対して「結果を気にせず、今できることに全力を尽くしたほうがいいよ。」とアドバイスしました。

 そして、私はそのいきさつを6月にこの随想に載せました。その新聞を娘が読んで、自分なりに考えたのだと思います。

 私たち大人は、いままでに経験をしてきて、ラクをすることもあきらめることも知っています。そもそも何かに挑戦することも稀かもしれません。

 しかし、子ども(娘)にとったら陸上大会は人生の一大事です。大人の目線で「今までやってきたことを出せばいいんだよ。」と言ってもなかなか承服しがたいでしょう。必死に努力すれば結果は欲しいはずです。

 でも、練習してもうまくいかない。どうすればいいのかわからない。どんどん精神的に追い込まれ、不安でいっぱいになった時に娘は自分で気が付いたのだと思います。「今自分ができることを精一杯するしかない。」ということを。

 

                                         田中裕志