司法書士法人あい事務所-会津若松・猪苗代・会津坂下-

ひとりひとりの問題解決に全力を尽くします

0120-913-456

認知症対策5
« 2017/5/02 »

 

認知症対策5

 

【質問】

 75歳女性です。夫が急死して一人暮らしです。将来認知症になったときに備えて準備しようと考えております。先日、テレビで家族信託というものを見ました。どのようなものなのか教えてください。

 

【回答】

 信託というのは、一般的にはだれかに何かを託す、という意味ですよね。財産に関しては、信託銀行などのプロにお金や不動産を預けて管理、運用してもらうことを意味していましたが、信託に関する法律の改正により、一般人間でも信託を使うことができるようになりました。このうち家族についての信託を家族信託と呼んでいるようです。

 将来の認知症に備えての準備ですと、成年後見制度の利用が現在では一般的かと思います。成年後見のうちの任意後見制度を活用して、前もって「誰に、どのうな財産管理を任せるか」を決めてその契約内容を公正証書で文書にしておきます。この時点では、財産管理は自分で行います。将来認知症等で判断能力が低下して、自分で財産管理ができなくなった場合に、裁判所に申立をして任意後見を発効してもらいます。契約の時点では、いわば予約となります。

 これに対して、家族信託の場合には、任意後見のように国の制度を利用するのではなく、当事者間の契約でその内容を決定します。たとえば、息子さんに財産管理を任せたいのであれば、財産の範囲、任せる内容、期間などを2人の契約によって決めます。ですから、任意後見よりも自由度が高いといえるでしょう。将来、家族信託の利用が広まる可能性は十分にあると考えられますが、現時点では、利用の実績はまだ多くないようです。

 

司法書士 田中裕志