認知症対策9

【 質問 】

 82歳、父についての相談です。現在一人暮らしですが、2年後くらいに自宅を売却して老人ホームに入ることを検討しています。注意点はありますでしょうか。


【 回答 】

 司法書士の仕事をしていると近ごろ同様の相談を受けることがしばしばあります。多方面からの検討が必要だと思いますが、今回は売買の契約についての注意点について考えてみましょう。

 当然ですが、自宅が父の所有(名義)ならば父の判断で売却することができます。家族の意見や判断は、法的には父の参考材料でしかありません。しかし、それは所有者である父が適切な判断能力を有していることが前提です。高齢などで認知機能が衰えて判断能力が十分でなくなった場合には、そもそも自宅の売却(売買契約)ができない可能性があります。

 高齢の方の場合には、上記のような認知症リスクがあります。これを回避する方法はいくつか考えられますが、それぞれに特徴がありメリット、デメリットの検討が必要です。例えば、生前贈与により所有権(名義)を息子さんなどに移す場合には、税金の検討が必ず必要です。贈与税、不動産取得税、登録免許税など不動産を動かすと税金の対象となることがあります。専門家である税理士や税務署に事前に確認する必要があります。

 近頃注目を集めている民事信託という方法も検討事項でしょう。信頼できる人に財産(自宅など)の管理、処分を任せる方法ですが、契約の内容が複雑なので専門家の支援が必要です。

司法書士 田中裕志